政治家社会保険の不適切な加入(いわゆる国保逃れ)経過観測中
維新の地方議員6人、勤務実態の乏しい法人役員になり国保料を軽減 党が除名 参政党も10人処分、厚労省は違法と通知し1万1610人が資格喪失
対象組織:日本維新の会(所属地方議員)
- 発生(とされる時期)
- 2023年頃〜2025年(理事に就いた時期とされる)
- 公表・報道
- 2025-12-23
- 最終更新
- 2026-10-18
時系列(最初から)
- 2023年頃〜2025年(理事に就いた時期とされる)・発生(とされる時期)
- 2025-12-23・公表・報道
- 2025-12-23・続報関西テレビが、兵庫の維新議員4人が名を連ねる一般社団法人(理事700人以上)を報道。吉村洋文代表は4人が本人と認め、全特別党員を調べる方針。
- 2026-01-15・続報維新が地方議員・元議員6人を除名し、勧誘役の大阪市議1人の離党届を受理。吉村代表「脱法的な行為」と謝罪、中司宏幹事長は現職5人に辞職を要求。
- 2026-01-24・続報静岡県島田市議会の自民党会派の男性市議が、同様の社会保険加入を理由に自民党を離党。
- 2026-03-18・続報厚生労働省が、実態のない役員としての社会保険加入は認めず、事実と異なる届け出は健康保険法・厚生年金保険法違反とする通知を発出。
- 2026-03-27・続報大阪市会に松田昌利・佐竹璃保両市議への辞職勧告決議案が提出される。
- 2026-05-18・続報参政党が地方議員8人の国保逃れを発表し、計10人を処分。神谷宗幣代表が謝罪。
- 2026-06-29・続報千葉県市川市議会に、参政党を離党した太田丈之市議への辞職勧告・問責などの決議案が提出される。
- 2026-09-14・続報厚労省が通知を一部改正し新手口にも対応。年金機構の調査(8月末時点)で45社を調べ、1万1,610人が社会保険の資格を喪失。
- 2026-09-21・続報福岡市議会の会派「福岡市民クラブ」が、社会保険加入を理由に立憲民主党の市議4人を処分したと報道(違法性はなしとされる)。
概要・経緯(公表事実の整理)
【何が起きたか】日本維新の会の地方議員らが、一般社団法人などの「理事」に就いて月1万円台の低い役員報酬を受け取り、その報酬額を基準に会社員向けの健康保険・厚生年金に加入することで、議員報酬に応じて高額になる国民健康保険料などの負担を軽くしていたことが、2025年12月に報じられた(いわゆる「国保逃れ」)。維新は党内調査の結果、2026年1月15日に地方議員・元議員の計6人を「脱法的行為」として除名し、他の人を勧誘していた大阪市議1人の離党届を受理した。
その後、参政党の地方議員らにも同様の例が見つかり、党が2026年5月18日に計10人を処分した。厚生労働省は2026年3月18日、勤務の実態がない役員としての社会保険加入は認めず、事実と異なる届け出は健康保険法・厚生年金保険法に反するとの通知を出し、日本年金機構の調査で8月末までに1万1,610人が社会保険の資格を失った(議員以外を含む)。
【手口】
・兵庫の維新議員4人が名を連ねていた一般社団法人について、関西テレビは、登記簿に辞任者を含め700人以上の理事が載っており、関係者によれば代表理事は維新の国会議員の元秘書だと報じた。取材に応じた理事は、決まった仕事は「特にないんじゃないかな」と話し、理事会に出たこともないと述べた。
・維新の除名者6人は、一般社団法人または合同会社から月1万1,700〜2万5,000円の役員報酬を受け取り、それを基準に保険料を低く抑えていた(時事通信)。
・関西テレビの試算では、神戸市在住と仮定した兵庫県議の国保料は年約109万円で、この方法で数十万円程度安くなる。
・東京新聞が報じた参政党の元市議の例では、法人に会費として月5万800円を払い、報酬は月1万3,000円(天引き後の振り込みは月8円)。夫婦2人分の国保と国民年金が本来の約55万5,000円から約6万6,000円になり、半年で約49万円の支払いを免れたと本人が説明している。
【日本維新の会の処分(2026年1月15日)】
・除名(6人):長崎寛親・兵庫県議(神戸市兵庫区選出)、赤石理生・兵庫県議(神戸市東灘区選出)、長崎久美・尼崎市議、南野裕子・神戸市議、松田昌利・大阪市議、松本光博・元東京都杉並区議。
・離党届を受理(1人):佐竹璃保・大阪市議(他の人を一般社団法人への登録に勧誘していたとされる)。
・党の内部調査報告書は「明らかに現行制度の趣旨を逸脱する脱法的行為」と指摘し、党本部や都道府県総支部の組織的な関与は確認されなかったとした。
・吉村洋文代表は「脱法的な行為だ」と述べて謝罪した。中司宏幹事長は会見で「国民の納得を得られない事態を招き、深くおわびする」と陳謝し、現職の5人に議員辞職を求めた。
・兵庫の4人について、吉村代表は2025年12月の時点で登記簿の名前が本人であると認め、全ての特別党員を調べる方針を示していた。横山英幸副代表は、実態がないと知りながら所属していたなら極めて非難されるべきだと述べた(関西テレビ)。
【その後の議員の進退】
・長崎寛親氏と赤石理生氏は、兵庫県議会の会派別名簿(2026年9月11日更新)で無所属の県議として在職している。
・大阪市会は2026年3月27日、松田昌利(まさとし)・佐竹璃保(りほ)両市議への辞職勧告決議案が提出された(議員提出議案第5号)。
【他の政党の例】
・参政党(2026年5月18日):地方議員8人が一般社団法人から低額の役員報酬を受けて保険料を抑えていたと発表し、7人を離党勧告、議員になる前に役員に就いていた1人をけん責とした。関与した別の地方議員1人も離党勧告、勧誘などに関わった党員1人を除名し、計10人を処分した。神谷宗幣代表は謝罪し、「抜け穴的な手法を利用していた。党の議員として著しく不適切だ」と述べた(時事通信・福井新聞)。
・宮岡勝也・福井市議:2025年9〜12月に役員。「当時は問題だと認識していなかったが、慎重に判断すべきだった」と述べ、離党し、議員辞職は否定した(福井新聞)。
・仁藤秀尊・群馬県太田市議:一般社団法人「全国個人事業主支援協会」の理事を2025年6〜12月に務めた。参政党を離党(東京新聞)。
・太田丈之・千葉県市川市議:2026年5月27日に離党。市川市議会には6月29日、厚生労働省の通知を引いた辞職勧告決議案、問責決議案などが提出された。決議案によると、法人から受けた報酬を所得として申告していなかったことが分かり、本人は国民健康保険税を遡って納める意思を示した。
・自民党:静岡県島田市議会の自民党会派に所属する30代の男性市議が、兵庫県の一般社団法人の理事になって社会保険に切り替えていたことが分かり、2026年1月24日付で離党した。本人は「政治倫理的にはアウト」と認め、理事を退任して国保への手続きを進めているとした(SBSテレビ)。この報道に氏名の記載はない。
・立憲民主党:福岡市議会の会派「福岡市民クラブ」が2026年9月、所属する立憲民主党の市議4人を社会保険加入を理由に処分した。報道では違法性はないとされている(西日本新聞)。手口が同じかどうかは確認できていない。
【行政の対応】
・2026年3月18日、厚生労働省は全国健康保険協会・健康保険組合・日本年金機構に通知(保保発0318第1号・年管管発0318第1号)を出した。
・法人の役員が、役員報酬を上回る額の会費などを法人に払っている場合は、原則として業務の対価としての報酬とは認めない。
・アンケートへの回答や勉強会への参加など「単なる自己研さん」にすぎない業務は、経営への参画とは認めない。
・法人に使用されている実態がない人の資格取得の届け出は、健康保険法第48条・厚生年金保険法第27条に反するため、資格喪失の届け出を出させて資格を失わせる。
・2026年9月14日、通知を一部改正し、勤務時間が極端に短い従業員を多数抱えるなどの新たな手法についても、使用実態のない社会保険の適用は認めないとする通知を出した。
・日本年金機構の事業所調査(2026年8月31日時点):「社会保険料削減ビジネス」を行っている疑いのある45社を調査し、38社で対象者全員の資格喪失届が出され、1万1,610人が資格を失った。調査は続いている(社会保障審議会 年金事業管理部会 資料)。
【責任者】
・日本維新の会:吉村洋文代表、中司宏幹事長、藤田文武共同代表(当時)
・参政党:神谷宗幣代表
・通知の発出者:厚生労働省 保険局保険課長・年金局事業管理課長(氏名は通知に記載なし)
【確認できていないこと】
・除名・処分された議員らが、さかのぼって国保料などを納めたかどうか(議会資料で確認できるのは市川市の太田丈之市議の「遡って納める意思」のみ)。社会保険の資格が実際に取り消されたかどうか。
・長崎久美氏が2026年1月末に尼崎市議を辞職したとの報道があるが、10月18日時点で記事本文を確認できていない。南野裕子氏、松田昌利氏、佐竹璃保氏のその後の進退と、大阪市会の辞職勧告決議案の採決結果も確認できていない。
・兵庫の4人が理事だった法人の正式名称、大阪市議・元区議が役員だった法人の名称。
・島田市議の氏名、自民党の横浜市議が同様の理由で離党したとの報道の本文、立憲民主党の福岡市議4人の氏名と加入の詳しい内容。
・国会議員の関与(維新・参政党とも組織的な関与は否定している)。刑事告発の有無。
【背景】
・国民健康保険料は所得に応じて上がるため、議員報酬の高い地方議員では年100万円前後になる例がある。一方、会社員向けの健康保険・厚生年金の保険料は報酬額で決まるため、低い役員報酬で加入すると負担が大きく下がる。厚生労働省は、会費を集めて個人事業主などを法人の役員にし、社会保険に加入させる「社会保険料削減ビジネス」の存在を指摘している。
・維新は「身を切る改革」や社会保険料の引き下げを掲げており、主張と矛盾するとの批判が出た(共同通信)。
その後の経過
- 2025-12-23関西テレビが、兵庫の維新議員4人が名を連ねる一般社団法人(理事700人以上)を報道。吉村洋文代表は4人が本人と認め、全特別党員を調べる方針。
- 2026-01-15維新が地方議員・元議員6人を除名し、勧誘役の大阪市議1人の離党届を受理。吉村代表「脱法的な行為」と謝罪、中司宏幹事長は現職5人に辞職を要求。
- 2026-01-24静岡県島田市議会の自民党会派の男性市議が、同様の社会保険加入を理由に自民党を離党。
- 2026-03-18厚生労働省が、実態のない役員としての社会保険加入は認めず、事実と異なる届け出は健康保険法・厚生年金保険法違反とする通知を発出。
- 2026-03-27大阪市会に松田昌利・佐竹璃保両市議への辞職勧告決議案が提出される。
- 2026-05-18参政党が地方議員8人の国保逃れを発表し、計10人を処分。神谷宗幣代表が謝罪。
- 2026-06-29千葉県市川市議会に、参政党を離党した太田丈之市議への辞職勧告・問責などの決議案が提出される。
- 2026-09-14厚労省が通知を一部改正し新手口にも対応。年金機構の調査(8月末時点)で45社を調べ、1万1,610人が社会保険の資格を喪失。
- 2026-09-21福岡市議会の会派「福岡市民クラブ」が、社会保険加入を理由に立憲民主党の市議4人を処分したと報道(違法性はなしとされる)。
出典
- https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000190457_00024.html
- https://www.mhlw.go.jp/content/12512000/001749394.pdf
- https://www.mhlw.go.jp/content/12508000/001749239.pdf
- https://www.ktv.jp/news/feature/251223-ishin/
- https://www.jiji.com/jc/article?k=2026011501204&g=pol
- https://www.sakigake.jp/news/article/20260115CO0134/
- https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/giinshokai/shokai/kaihabetsu/kaihabetsu.html
- https://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu260/result/pdf/2026giin5.pdf
- https://www.jiji.com/jc/article?k=2026051800582&g=pol
- https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/2603588
- https://www.tokyo-np.co.jp/article/513478
- https://www.city.ichikawa.lg.jp/uploaded/attachment/53761.pdf
- https://www.at-s.com/snews/article/ats/1895210.html
- https://www.nishinippon.co.jp/item/1540341/
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