不祥事マップ
政治家予算をめぐる発言・公職選挙法違反の疑い(大臣辞任)経過観測中

簗和生農相が就任27日で辞任 応援しなかった2市町の道路予算「大幅にカット」発言、出陣式の無料バス送迎で刑事告発も

対象組織:簗和生(衆議院議員・前農林水産大臣)

発生(とされる時期)
2026-05-24
公表・報道
2026-09-30
最終更新
2026-10-16

時系列(最初から)

  1. 2026-01-27・続報
    衆院選の公示日。大田原市の出陣式で、駐車場から会場までマイクロバスで支援者を無料送迎(収支報告書に23万5400円)。
  2. 2026-02-08・続報
    衆院選。栃木3区で渡辺真太朗氏に敗れ、比例で復活当選。
  3. 2026-05-24・発生(とされる時期)
  4. 2026-05-24・続報
    自民党栃木県連大田原支部の懇親会のあとで、那須烏山市・那珂川町の道路予算を大幅にカットしたと発言。
  5. 2026-09-17・続報
    第2次高市改造内閣で農林水産大臣に就任(初入閣)。
  6. 2026-09-30・公表・報道
  7. 2026-09-30・続報
    デイリー新潮・週刊文春電子版が音声データとともに予算カット発言を報道。
  8. 2026-10-02・続報
    国会内で会見し発言を認め、誤解を招く言い方だったと釈明。辞任は否定。
  9. 2026-10-05・続報
    発言を謝罪し撤回。
  10. 2026-10-06・続報
    国交省が調査結果を公表。2月中旬に簗氏から配分額の問い合わせはあったが「働きかけや圧力はなかった」。
  11. 2026-10-09・続報
    2024年12月に箇所付けを国交省にやらせると発言したとする別の音声データの存在が報じられる。
  12. 2026-10-13・続報
    衆院予算委で無料バスについて「人道的な観点」「選管に確認を入れた」と説明。県選管は問い合わせの記録はないと回答。
  13. 2026-10-14・続報
    首相が予算委で「みっともない」と批判。那須烏山市議会が抗議決議。夜に辞表を提出し受理(事実上の更迭)。
  14. 2026-10-15・続報
    上脇博之・神戸学院大教授が公選法違反の疑いで宇都宮地検に告発と報道。後任に武部新氏が就任。

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概要・経緯(公表事実の整理)

【何が起きたか】自民党の簗和生衆院議員(栃木3区から立候補、2026年2月の衆院選は比例で復活当選、当選6回)は、2026年9月17日に第2次高市改造内閣の農林水産大臣として初入閣したが、10月14日夜に辞表を提出し、高市早苗首相が受理した。就任から27日での辞任で、事実上の更迭と報じられた(高市政権の発足後、不祥事で辞任した閣僚は初めて=下野新聞)。きっかけは、衆院選で自分を応援しなかった市町の道路予算を「大幅にカット」したとする発言の録音が報じられたことで、その後、選挙の出陣式で支援者をバスで無料送迎した問題も国会で追及された。 【問題になった発言】2026年5月24日、自民党栃木県連大田原支部の懇親会のあとで、2月の衆院選で首長が自分を応援しなかった那須烏山市と那珂川町について、道路予算を大幅にカットしたと発言した。9月30日にデイリー新潮と週刊文春電子版が音声データとともに報じた。10月9日には、2024年12月に大田原市の会合で、予算の「箇所付け」(どの事業にいくら配るかを決めること)を国交省にやらせると発言したとする別の音声データがあることも報じられた(下野新聞)。 【本人の説明の移り変わり】 ・9月30日:「現段階で回答を差し控えたい」。 ・10月1日:大臣になる前の議員活動のことだとして回答を控える。 ・10月2日:夕方、国会内で会見し発言を認め、誤解を招く言い方だったと釈明。辞任は否定。 ・10月5日:発言を謝罪し撤回。辞任は否定。 ・10月6〜8日:予算を減らすよう国交省に働きかけたことは「していない」と説明。7日には国交省への照会の中身について「明確に覚えているわけではない」と述べた。8日の参院代表質問で、事実と異なる発言だったと認めたうえで、職務に全力を尽くすとして辞任を否定。 【国交省の調査(10月6日)】予算が決まる前の2月中旬に、簗氏から2市町への配分額について問い合わせがあったことを認めたうえで、「働きかけや圧力はなかったと認識している」とした。一方で、簗氏を応援した2市町の交付金は増え、対立候補を支援した3市町は減っていたことも分かった(下野新聞)。那須烏山市の継続事業の道路予算は前年度比64%減、那珂川町は54%減と報じられている(弁護士JPニュース)。国交省は減額の理由を「要望や進捗状況、重点配分の対象になっているかを総合的に勘案している」という一般的な説明にとどめている。発言と予算の減り方の方向は一致しているが、発言が減額の原因だったとは確認されていない。 【出陣式の無料バス】2026年1月27日(衆院選の公示日)、大田原市での出陣式で、駐車場に車を止めた人をマイクロバスで会場まで無料で送迎した(証言では約20往復。選挙運動費用収支報告書に23万5400円を計上=ABEMA TIMES)。週刊文春は2024年10月の衆院選でも同様の送迎があったと報じた。10月13日の衆院予算委員会で簗氏は、高齢者や杖を使う人に約800メートル歩かせるのは負担が大きいとして「人道的な観点」から用意したと説明し、「選管に確認を入れた」、費用は会場費として計上したとして違法性を否定した。これに対し栃木県選挙管理委員会は、問い合わせがあった記録はなく担当者も記憶がないとし、事前に聞かれていれば判例集に基づいて違反になると答えるはずだという趣旨を説明した(民主改革の会の山岡達丸衆院議員が確認した内容)。翌14日、簗氏は秘書の話として、収支報告書への計上方法を照会したのかもしれないと答弁した。 【辞任まで】10月13日、高市首相は予算委員会で、発言が事実なら不適切だとし、続投の是非も含めて考えると答弁した。14日、首相は予算カット発言を「政治家としてみっともない」と改めて批判し、無料バスの説明も納得を得られていないと述べた。同日、那須烏山市議会が臨時議会で簗氏への抗議決議を可決。参院は与党が過半数を割っており、野党は問責決議案の提出を検討していた。夜、簗氏が官邸で辞表を提出した。首相の説明では、辞任の理由は「これ以上国会審議に迷惑をかけるわけにはいかず、また、農林水産行政に集中できない状況が続くことを避けるため」。首相は「任命責任を重く受け止めております」と述べ、簗氏は一国会議員として説明責任を果たすべきだとした(首相官邸の会見記録・下野新聞)。 【刑事告発】神戸学院大学の上脇博之教授が、2024年10月と2026年2月の衆院選の出陣式で有権者を無料送迎したのは、当選を目的とした財産上の利益の提供にあたり公職選挙法違反だとして、簗氏と当時の出納責任者2人の計3人を宇都宮地検に告発した(10月15日報道)。告発が受理されたか、捜査が始まったかは10月16日時点で確認できていない。 【背景:地元の対立】衆院栃木3区では、簗氏と地元の保守系の首長・議員との対立が何年も続いていた(下野新聞)。2024年の衆院選は簗氏が渡辺真太朗氏に178票差で勝ったが、2026年2月の衆院選では渡辺氏が勝ち、簗氏は比例で復活した。那須烏山市では渡辺氏8,642票・簗氏2,760票、那珂川町では渡辺氏4,379票・簗氏2,481票だった。2025年春ごろには、簗氏の政治活動用ポスターを無断で撤去して渡辺氏のポスターを設置したなどとして、那須烏山市議の渋井由放氏(69)と、渡辺氏の政治活動を後援する立場にあった地元の男性(76)の2人が、2025年12月に器物損壊の疑いで書類送検されていた(とちぎテレビ。2人は容疑を認めているとされる。その後の処分は確認できていない)。簗氏の事務所は「関係機関による厳重な処罰を求めたい」、渡辺氏の事務所は「法令順守の姿勢を貫いてまいります」とコメントしている。なお簗氏は、自民党派閥の政治資金パーティー収入の不記載問題(いわゆる裏金問題)で党の役職停止6か月の処分を受けており、処分を受けた旧安倍派議員の閣僚起用は初めてだった(下野新聞)。 【見方】発言そのものについて、簗氏は撤回・謝罪し、国交省も働きかけはなかったとしている。一方で、政治アナリストの伊藤惇夫氏は個人的な恨みによる予算カットであれば民主主義の否定につながると指摘し、無料バスについて岩井奉信・日本大名誉教授は判例集にも同様の内容があり違法の可能性が高いと述べた(時事通信)。地元の対立にはポスター撤去事件のような相手側の行為もあったが、応援しなかった町の予算を削ったと本人が語ったことの問題とは別の論点である。 【後任】10月15日、武部新衆院議員(56、北海道12区、元農水副大臣・党農林部会長。父は元自民党幹事長の武部勤氏)が農相に就任した。首相は「農林水産行政に精通している人物で、即戦力として国会対応も含め活躍していただける」と説明した(日本経済新聞)。 【未確定の点(10月16日時点)】告発の受理・捜査の有無、2024年12月の「箇所付け」発言の詳しい中身、2月の国交省への照会の具体的なやり取り、ポスター撤去事件の処分結果。

その後の経過

  • 2026-01-27衆院選の公示日。大田原市の出陣式で、駐車場から会場までマイクロバスで支援者を無料送迎(収支報告書に23万5400円)。
  • 2026-02-08衆院選。栃木3区で渡辺真太朗氏に敗れ、比例で復活当選。
  • 2026-05-24自民党栃木県連大田原支部の懇親会のあとで、那須烏山市・那珂川町の道路予算を大幅にカットしたと発言。
  • 2026-09-17第2次高市改造内閣で農林水産大臣に就任(初入閣)。
  • 2026-09-30デイリー新潮・週刊文春電子版が音声データとともに予算カット発言を報道。
  • 2026-10-02国会内で会見し発言を認め、誤解を招く言い方だったと釈明。辞任は否定。
  • 2026-10-05発言を謝罪し撤回。
  • 2026-10-06国交省が調査結果を公表。2月中旬に簗氏から配分額の問い合わせはあったが「働きかけや圧力はなかった」。
  • 2026-10-092024年12月に箇所付けを国交省にやらせると発言したとする別の音声データの存在が報じられる。
  • 2026-10-13衆院予算委で無料バスについて「人道的な観点」「選管に確認を入れた」と説明。県選管は問い合わせの記録はないと回答。
  • 2026-10-14首相が予算委で「みっともない」と批判。那須烏山市議会が抗議決議。夜に辞表を提出し受理(事実上の更迭)。
  • 2026-10-15上脇博之・神戸学院大教授が公選法違反の疑いで宇都宮地検に告発と報道。後任に武部新氏が就任。

出典

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